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【ネタバレ感想】熱く滾る王道!『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE 2人の英雄』

 

週刊少年ジャンプで高い人気を誇り2016年にはテレビアニメ化された『僕のヒーローアカデミア』が映画化されました。

 

王道を貫き、少年少女の成長を描いた人気作。

映画版もしっかりと王道を貫いており熱く滾る、そしてなぜか涙がこぼれそうになる、心に残る作品になっていました。

 

夏興行の大本命と呼んで過言ではない作品です。これぞジャンプ!という熱を感じさせる素晴らしい内容でした。

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作品紹介・あらすじ

2014年から週刊少年ジャンプで連載されている堀越耕平作の『僕のヒーローアカデミア』初の映画版。

 

全人類の8割以上が何らかの特殊能力"個性"を持つ時代。

個性を使って犯罪を行うヴィランと個性を使って人々を助けるヒーローが存在する。そんなヒーローに憧れる少年緑谷出久(通称デク)は無個性故にヒーローになることを諦めかけていた。

 

ある時、ナンバーワンヒーロー"オールマイト"と出会い、ヒーローの素質を認められ彼の個性"ワン・フォー・オール"を継承する。

個性を得たデクはヒーローになるためにヒーロー輩出の名門校雄英高校へと入学しヒーローへの道を歩んでいく。

 

映画版は本編の期末試験後を描いています。

 

デクはオールマイトと共にI・アイランドで開催されるI・エキスポに招待される。

I・アイランドの厳重な警備システムがヴィランに乗っ取られてしまう。オールマイトも拘束され、窮地に立たされたデクたちはシステムを解放するためにヴィランと戦うことを決意する。

 

初心者も安心の設計!

テレビ、漫画の映画版と言えば原作やテレビシリーズを視聴していないとキャラ・物語の関係性や設定が分からなかったりすることが多々あります。

 

本作では冒頭で世界観やキャラの説明が入るので初心者でも安心して鑑賞することが出来ます。

説明も長くてくどいものではなく、物語の邪魔にならない程度のコンパクトさに納められています。

 

原作が進むと初期の頃がおぼろげになりがちですし、改めておさらいすることで原作既読の方でもキャラクターへの感情移入がよりしやすくなっているように感じられました。

 

物語も原作の空白期を描いていますが、原作を知らなくても楽しめる完全オリジナルストーリーなのでこれも初心者には非常に安心できる要素です。

全く何も知らなくても一本の映画として楽しめる。まさに理想の作品です。

 

シンプルながらも熱い物語

物語は非常にシンプルな構造。

I・アイランドがヴィランに乗っ取られてしまい、オールマイトらヒーローも拘束されてしまう。

まだヒーローではないデクたちが島と人々を救うために行動するという内容です。

 

前半はキャラクター紹介的な要素が強く、物語はあまり大きな動きを見せません。

これは前述のように初心者や往来のファンを楽しませる要素でしょうか。物語が進展しない前半は少し退屈に感じたのでそれが残念な点です。

 

ですが、後半はその鬱憤を吹き飛ばしてくれるかのような爽快感と軽快なテンポで物語が恐ろしい速度で進んでいきます。

ヴィランと戦うデクたちの怒涛のアクション、各キャラクターの持ち味を十分に生かした非常に見ごたえのあるバトルシーンが展開されまさに少年ジャンプを感じさせる熱い戦いが展開されます。

 

ただ単に個性をぶつけて敵と戦うのではなく、互いに連携しながら戦ってゆく姿はジャンプの三原則の一つ"友情"を強く感じさせるものでした。

 

バトルシーンを中心に物語は展開されますが、人々を救うために走り続けるデクたちの姿に気づけば心の中で応援している自分がいました。

これがジャンプ!とシンプルながらも手汗が滲み出てくるほど熱い展開でした。まさに王道のバトルアニメ!

後半の怒涛の展開は滾りまくりました。

 

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誰でもヒーローになれることを伝えている

本作のテーマは原作から引き続き"ヒーローとは何か?"です。

オールマイトのようにたった一人で敵に立ち向かい人々を救う。それは皆が想像するヒーローの姿そのものです。

 

しかし、デクたちはヒーローではない。でも、デクたちしか人々を救えない状況に追い込まれてしまう。

そんな時、本物のヒーローならどうするのか?と問いかけてくるわけなのです。

ヒーローとは困った顔をした人を助ける物。それがヒーローだとデクは考えています。

だからこそ、ヒーローではないが人々を助けるという決意をする。

困った人を助けるのがヒーローだと言うことを彼は信じているから動くのです。

 

ヒーローとは何か。その答えを作中でしっかりと提示しています。その答えの示し方に説教臭さは一切ありませんでした。それが本当に素晴らしいと感じた点です。

物語の流れを一切損なわない巧みな演出に感嘆させられます。

 

そして、本作の素晴らしい点はもう一つあります。それは誰もがヒーローになれるということを伝えている点です。

 

ヴィランと戦うのは個性を持ったデクたち。では個性を持たないとヴィランとは戦えないのか?ヒーローにはなれないのか?「そんなことはない」と本作は言っているのです。

 

特殊能力を全く持たない無個性の少女メリッサが物語の重要な役どころを担います。

彼女がいなければ物語が成り立たないほどの活躍を見せてくれます。

能力の有無に関係なくそれぞれに何らかの役目がありヒーローになれるということをきっちりと示しているんですよね。

 

特殊能力を持つ人々を描いたヒーロー作品ながらも特殊能力を持たない人の活躍も存分に描いているのは本当に上手いと感じました。

現実世界は無個性の人しかいません。それでもヒーローになれることを伝えてきているので、映画を観にきた子どもたちの心にメッセージはしっかりと届いたはずでしょう。

 

たとえ一人では無理でも、皆と手を合わせればヒーローになれるというのも、キャラクターたちの連係プレイで描いているので、まさに教育的な作品です。

 

ジャンプらしい、友情と勝利がしっかり描かれていて、そして誰でもヒーローになれるというメッセージ性もしっかりと盛り込まれており、夏にぴったりの作品になっていました。

 

鑑賞すれば夏の思い出になること間違いなしです。

原作を知らなくても楽しめる親切な設計なので、今夏おすすめの一作です!