『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』感想 傑作、ここに誕生
ミッション:インポッシブルシリーズ。
それは不可能の連続。
撮影中に骨折し、航空機から低酸素状態でヘイロージャンプ(高高度降下低高度開傘)を行い、ヘリにしがみつく…。
そんな不可能の数々を宣伝文句に登場した『フォールアウト』
不可能を実現してくれました。ミッション:インポッシブルシリーズ、いや映画界にとてつもない事がおきてしまったのです。
ミッション:インポッシブルシリーズにまたしても傑作が誕生してしまいました。
どこにケチをつければいいのか分からない…。それほど凄まじい完成度を見せつけてくれたのです。
単純なスパイアクションの領域を逸脱し映画史に名を刻むことは間違いなしの『フォールアウト』
これはもはや事件です。
スポンサーリンク
作品紹介・あらすじ
トム・クルーズ主演の人気スパイアクションシリーズ第6弾。
シンジケートのボス"ソロモン・レーン"により世界が崩壊の危機にさらされる。
彼はプルトニウムを奪い核爆弾の完成をもくろんでいた。無政府主義を貫き、国家の崩壊をもくろむソロモンの野望を阻止するためにイーサン・ハントのチームが動き始める。
監督は前作に引き続きクリストファー・マッカリー。
CIAから派遣されるエージェント"オーガスト・ウォーカー"役をスーパーマンなどで有名なヘンリー・ガヴィルが演じています。
瞬き禁止!壮絶アクションの連続!
シリーズも6弾目となり、そろそろマンネリの時期に突入するかと思われたものの、第4作『ゴースト・プロトコル』から一気に盛り返し、前作『ローグ・ネイション』ではサスペンス要素が高まり観客に新鮮味を与えてくれました。
本作では再びイーサン・ハントにスポットを当てた物語になっており、体を張ったアクションで観客を緊張の渦中へと落とし込んでくれます。
低酸素状態でのヘイロージャンプをやったかと思えば、ヘリからぶら下がったり、ビルからビルへと飛び移るなど、人間技とは思えないアクションで観客を魅了してくれます。
ビルからビルへ飛び移るアクションのおかげで骨折する大けがを負うなど、演技もインポッシブルの連続。
ここまでやるのか?大丈夫か?と撮影の裏側を知ると心配になりますが、完成した映像ではそんなことを一切感じさせません。
衰えない、全く衰えないトム・クルーズ。あまりにも凄すぎる…。
ゴースト・プロトコルのようにクレムリンが破壊されるような派手な爆破などはほとんどなく、格闘やカーチェイスによるアクションが主体です。
カーチェイスは目眩がするような疾走感。パリ市街でのチェイスシーンは多数の車両が行きかっており非常に情報量が多いのですが、撮影と演出が上手いおかげで画面はとてつもなくスッキリと見やすくなっています。
下手なアクション映画だと画面が込み入りすぎてしまい俳優陣の動きが全く分からなくなり作品に集中できないことが発生します。
フォールアウトではチェイスシーンにおける情報量の多さを全く感じさせず、逆にコンパクトにすら見えてくるほどでした。
アクションの見せ方がとてつもなく上手いので脳が処理落ちすることがありません。
格闘アクションも東洋武術を思わせるキレのある美しい動きを見せてくれるのでうっとりとさせられてしまいます。
全てのアクションが瞬き禁止。これほど見やすく分かりやすいアクションを作られるなんて!と驚愕させられる事間違いなし。
もはや神業というしかありません。
先の読めない緻密な脚本
さて、単純にアクションを楽しむだけでももう大満足なフォールアウトなのですが、今回は脚本が異常なまでに練りこまれており、異様な面白さを見せつけてくれます。
今回は奪われたプルトニウムから作られた核爆弾の使用を阻止するストーリー。
一見単純に見えますが、全く先が読めませんでした。
核テロを阻止する方法が複雑怪奇であり、そこに様々な人物の思惑が入り乱れるため一体何が起きようとしているのか分からない。
あまりにも脚本が複雑すぎて困惑してしまう寸前にまで追い込まれます。こんな入り組んだ脚本を本当にきれいに片づけることが出来るのだろうか、と不安が入り混じるほどです。
その不安や困惑すらも計算のうちなのでしょう。
緻密に練られた脚本はもはや複雑な機械を組み立てるための設計図のように、一見すると何が何だか分からないのですが、完成した瞬間の快感はとてつもないものです。
フォールアウトもそれと同じ。真相が明らかになった時、電流が走ったような快感と驚きが襲ってくるのです。
緻密でミステリアスな脚本、派手ながらも見やすいアクション、そしてシリーズらしいチームプレイ…。これらの要素が融合することでフォールアウトは完璧な作品になったのです。
どこにケチをつければいいのか分かりません。
傑作が誕生してしまいました。
これは映画史に残る作品です。