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『キャプテン・マーベル』感想 現実社会の問題を反映し全てを受け止めるヒーロー映画

 

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(C)Marvel Studios 2019

MCU21作目にして初の女性ヒーローになった『キャプテン・マーベル』

物語はアイアンマン第一作以前の1995年に戻り、若かりしニック・フューリーやコールソンが登場。

これはアベンジャーズ以前というよりもヒーロー以前の物語に感じた。

 

ネタバレがあります。 

アメコミ映画初心者はこちらの解説記事を参考にしましょう!

【初心者必見】アメコミ映画一覧2019年版!おすすめ作と最新情報を解説! 

 

物語は宇宙人同士の戦争から始まる

クリー人の精鋭部隊に属するヴァースは夜な夜な奇妙な夢に苛まれつつも、訓練を行い戦いに身を投じる。

しかし、彼女はスクラル人に拘束され自分の記憶を読み取られる。そこには彼女が知らない記憶が存在した、という筋書きだ。

 

記憶が何を意味するのか、自分はいったい何者なのかを探し求め様々な場所を巡るどこかロードムービーめいた物語でもある。

 

この作品で特筆すべき点は特定の性におもねることがない点だろう。

これまでの女性ヒーローはセクシーに描かれることが多かったが、本作はセクシーさはほとんど感じさせない。

そしてヒーローだからと言って男勝りに描いてもおらず、等身大の女性として描いているのが素晴らしいと感じた。

 

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男性キャラも逞しく一方の性の強靭さを強調するために一方を貶める描き方もしておらず、かなり平等な描かれ方をしていた。

 

本作には性問題のみならず人種、国境問題も組み込まれているように見えた。

スクラル人は緑の肌で統一されている。一方でクリー人は白人や黒人、青い肌をした人物もおり多様な社会であることを描いているが、クリー人はスクラル人に不当な戦争を仕掛けていたことが判明する。

 

物語の中盤でスクラル人は安住の地を欲している事が判明する。

それなのにクリー人は問答無用で攻撃し、挙句には爆撃までしてしまう。

クリー人がスクラル人を迫害し絶滅に追い込んでいるように見えてしまうのだ。

 

住む星が違うから、価値観が違うからというだけで戦争になるのは現実社会に通じる要素を感じざるを得ない。

 

ヴァースは自分が地球人だと知り、一体自分のやるべきことは何なのか探し求める。

彼女は強大な力でスクラル人を守ることを決意する。

これは彼女がスクラル人を攻め続けたことへの贖罪であるのと同時に、自分にしか出来ない事だと感じたからだろう。

 

彼女はクリーを守るために戦った。その勇猛な行動が彼女がヒーローとして目覚めさせる。

守ることは誰にもできることではない。

誰も出来なかったことに立ち向かうことは容易なことではない。

 

だが彼女はこれまでも危険な任務に挑み完遂させた。これまでの行動が彼女を彼女たらしめる。

 

たとえ戦いを教えてくれた師であっても、その師が自分へ輸血していて救助してくれていても関係ない。

この輸血とは家族間の血の繋がりの暗喩だろう。疑似的な家族を描いているのだ。

 

仲間であっても、家族であっても師匠であっても間違っていることは間違っていると声をあげなければならない。

それが出来なければ自分はクリーの罪を一生背負い続けることになる。

 

だからこそヴァースはヒーローに、キャプテンマーベルになれたのだ。

過ちを正すことがヒーローの姿だ。

 

人種も性差も国境も家族すらも超越できるのがヒーローだ。

 

声をあげることが出来れば、それで君はヒーローになれることを伝えてきているように思えた。

 

これまでのMCU作品で最もメッセージ性が強い作品だろう。

男であること女であること、家族や仲間であることは関係ない。

とてつもないほどに全てを平等に描いた作品だ。

 

単純明快なテーマだが現実社会の問題を恐ろしいほどまでに反映している。

キャプテンマーベルは全ての問題を受け止めて立ち向かう強大なヒーローだと言える。