【Netflix】『紅き大魚の伝説』ネタバレ感想 中国アニメが結構凄い
中国アニメ映画『紅き大魚の伝説』がようやく日本上陸。
2016年夏に中国で公開され興収5億元(約90億円)を超える大ヒットを記録した2Dアニメーション映画。
日本ではNetflixで配信が開始されています。
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作品紹介
中国語タイトル『大魚・海棠(Big fish&Begonia)』
2016年7月に中国で公開された2Dアニメーション映画。
5億元を超えるヒットを記録。
ハンガリーのアニメ映画際で長編作品賞を受賞。海外の辛口批評サイトRotten Tomatoesでも高評価を得ており、世界的評価を受けています。
音楽は日本の吉田潔が担当。
あらすじ
植物を成長させたり、火を出したり出来る人々が住む別世界。少女チュンは成年式で自然の法則を観察するため7日間人間界へと旅立つ。その間は人間と接触してはいけないという掟があり、人間界では赤いイルカの姿で生活しなければならなかった。
人間界から去らなければならない日、チュンは嵐に巻き込まれ網に引っ掛かり身動きが取れなくなってしまう。
とある青年がチュンを助けるも彼は嵐に呑まれ帰らぬ人となってしまう。
元の世界に戻ったチュンは青年を生き返らせようとする。しかし、それは自分の世界に大きな災いをもたらすことになるのだった。
結構凄いぞ中国アニメ
中国アニメーションと言えばどういったものを創造するでしょうか。
と言っても、日本にはほとんど入ってこないので想像しようがないのが現状です。
ここ数年で中国は日本のアニメに出資していたり、オリジナルアニメの製作に力を入れている様子。政府が自国コンテンツ拡充を掲げたらしく、日本のアニメイベントでも中国企業の出展が目立っているようです。
「世界は日本のアニメ市場をどう捉えている?」Netflixや中国、サウジに日本進出を問う - KAI-YOU.net
アニメはまだまだ日本優勢と思っていましたが、この作品を見てから考えが一変しました。
日本のジブリやアメリカアニメから影響を受けたような印象が確かにあるものの、中国らしい色彩感覚や背景美術、物語の神秘性など新鮮さに溢れる内容になっています。
アニメーションの動きも軽やか。ぎこちなさもほとんどなく、自然に動き感情表現も見事にこなしアニメーションも中々良くできていました。
時々心を鷲掴みにされるようなシーンもあり、その質の虜になったのも事実。
しかし演出に関しては日本と異なる点も多く違和感を感じることもありました。国によって演出方法が異なるのでこれは仕方がないのかもしれません。
作画は良いのですが、CGが極端にリアルに描かれている場面もあり手描きアニメーションとマッチしてない場面も見受けられたのです。
特に海の描写がリアルすぎるように感じました…。
ですが、全体的に質の高いアニメーションを見せてくれるので一件の価値はあります。
ただ日本やアメリカなどのアニメーションに強い影響を受けている印象があります。
中国にしかできないと思わせるアニメーションを見せるにはもう少し時間がかかるのかもしれません。
中国アニメが完成された時、日本アニメにとっては大きな脅威になりそうです。
この作品で既に日本アニメもうかうかしてられないと印象付けるには十分な出来ですしね。
ストーリーは神秘的
物語は自分を助けてくれた人間の青年を生き返らせるために奮闘する少女を描いています。
青年を生き返らせるために自分の寿命の半分を差し出し、イルカの姿になった青年を大きくなるまで育て人間界に返す必要があるのです。
中国の様々な神話や伝承が下敷きになっているようで、中国らしさに溢れた独創的な世界観を完成させています。
人は死ぬと魂が魚になる。輪廻転生の物語であり、中国の死生観はやっぱり日本と似ているのだなと感じました。
主人公チュンの青年を生き返らせたいという一途な思いが彼女の住む世界に悲劇を与えてしまう。大きな犠牲を払うことになっても思いを遂げようとする彼女の姿は自分勝手すぎないかと思いつつも、どこか共感してしまう部分もある。
やはり日本の思想と似ているのではないのかと考えさせられてしまいます。
中国アニメーションへの見方を変える一作
この作品は中国アニメーションへの見方を大きく変える作品でした。
粗悪という印象は終わり、世界で戦うには十分な力をつけたことを知らしめてきました。
結構凄い作品です。
中国アニメの力が見れるので一見の価値ありです。