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『ドラゴンボール超ブロリー』ネタバレ感想 まさかのドラマ映画!DB史上最高傑作誕生!

世界的人気漫画『ドラゴンボール』のその後を描く『ドラゴンボール超』の劇場版が公開。人気の高いキャラ『ブロリー』の登場でも話題です。

 

さて『ドラゴンボール超ブロリー』はこれまでのドラゴンボール映画には無かった、シリーズでも異例の”ドラマ”に重きを置いた物語です。まさかドラゴンボールでしっかりと練られたドラマが見られるとは思わず驚愕しています。

 

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作品紹介・あらすじ

2015~2018年まで放送された『ドラゴンボール超』のその後を描いた物語。

 

力の大会を経た悟空たちが復活したフリーザがドラゴンボールを求めて再び地球へと襲来。フリーザ軍には謎のサイヤ人ブロリーが加わっていた。ブロリーは父パラガスとともに自分たちを過酷な道へと追いやったベジータ王の息子ベジータへの復讐を始める。

 

DB史上最高のドラマ映画

冒頭ではサイヤ人がまだ生きていたころ、フリーザ軍の配下で活動していた時代が描かれます。

バーダックやベジータ王などファンには懐かしのキャラも多数登場するのですが、設定はZ時代とは異なる改変が行われています。

 

物語は”父の思い”を重点的に描いています。

自慢の息子を求愛し、次期王子の地位を脅かしかねない戦闘力を持つブロリーを追放するベジータ王。息子ブロリーを守ろうとするパラガス。滅びゆく運命から息子だけでも救おうとするバーダック。

三者三様のドラマが描かれ、どの父の思いも深く理解できるものになっていました。

パラガスは息子を追放したベジータへの復讐を決意し、バーダックは息子カカロットを生き延びさせるため、ベジータ王は息子を守るために…。どの父も極端な形ではありますが、我が子に対する強い愛情が描かれているのです。

 

しかし、ドラゴンボールZ時代に描かれたバーダックは勇ましくも粗暴、これぞサイヤ人と言わんばかりの兇暴な印象でしたが、本作では父の心を芽生えさせた柔和なキャラへと変更されています。この点は旧来のファンから批判を受けるかもしれません。

 

父の思い、そして復讐に囚われた狂気の心…。同じサイヤ人でも身分の差により歩む道が異なってしまう。現実世界に通じる風刺のような側面もあり、単純な親子愛では語りつくせない濃密なドラマを見せてくれます。

これら壮大なドラマは大胆なキャラクター設定変更から生まれた産物です。旧来のファンは拒絶反応を起こすかもしれませんが、この変更こそが本作の深みを増す要素になっているのです。

 

『ドラゴンボール超』のタイトルはついている物の、もはやサイヤ人の歴史を描いたリブート作のような印象を受けるほどでした。

まさにドラマ映画。サイヤ人の思いで涙まで流れるほどです。これほどドラマが面白いとは思っていませんでした。

 

ブロリーが悪魔から人間へ

『燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦』では悟空の夜泣きに悩まされた挙句復讐心を芽生えさせてしまうという苦しい設定のブロリーでした。しかし、その強大な力の前には悟空たちだけではなく観客までも圧倒されてしまう始末。

ブロリーは自身の無限のパワーで瞬く間に人気キャラへと変貌してしまいました。

 

かつてのブロリーは力任せに暴れまわる凶暴凶悪なサイヤ人でしたが本作のブロリーは野生児のような存在になっています。文明や言葉、コミュニケーションを知らない存在になっていました。

かつては破壊を楽しむ悪魔だったブロリーが本作では何も知らない純粋無垢な男になってしまったのです。

 

ブロリーはパラガスによって彼の暴走を止め従順に従わせる電流の走る首輪をつけられています。

暴走しはじめるとパラガスがリモコンを操作し電流を流す…。そして落ち着かせるという旧映画版のような奴隷的親子関係は健在させつつも、ブロリーの苦しみ方がかつてよりも壮絶になっており、あの悪魔ブロリーに対して憂心を抱くほどです。

 

人の心が通用しなかったブロリーはもはやかつての存在に。フリーザ軍のチライやレモと交流することで人間の心を学び成長していく。パラガスの事を貶されると「お父さんは悪くない」とかばうなど、優男のような印象すら与えてしまうほどブロリーは人間になっているのです。

 

人間の心を宿したブロリーだからこそ、夜泣きに悩まされるという苦慮の設定はいずこへと消えます。

ベジータに対するパラガスの復讐の道具として利用されるのです。圧倒的な力でベジータ王の息子ベジータを倒す。そうすれば復讐は完遂され、自分たちを虐げたものへの罰が下る…。パラガスのせいでブロリーは際限のない力を発揮していきます。

 

圧倒的な力は健在。これぞブロリーと舌を巻いてしまう強大な力を見せつけてくれます。

ブロリーを悪魔から人間へと変貌させつつも、彼のだいご味はしっかりと残す。クリエイターのブロリーに対する熱い思いが垣間見えました。

 

ブロリーは最高にかっこよく、そして恐ろしくも可愛い…。人間味あふれる最強最高のキャラになりました。

 

日本のアニメーションを新たな高みへ押し上げた

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そして、ドラゴンボールといえばバトルが見所。

本作はとんでもないハイスピードの戦いが繰り広げられ、目にも留まらないのでは?と錯覚するほどです。

 

しかし、ハイスピードであるものの作画は破たんしておらず、キャラクターの動きがしっかりと読み取れる見事なアニメーションです。

打撃の重さ、気功弾の熱さまで伝わってくるような濃密なアニメーション。今回は手描きだけではなく、CGも随所に盛り込んでいます。

 

手描きから突如CG作画のバトルに移行するのですが、これが非常に滑らかに変化し注視しなければCGと判別がつかないほどです。

手描きからCGへシームレスで違和感なく移行しており、どこまでが手描きでCGなのか全く分かりません。

バトルシーンの勢いに呑まれていると更に分からなくなるでしょう。

 

日本のアニメーションはこれほどのハイスピードかつ重い映像を作れて、さらにはCGと巧みな融合を可能にしてしまうのかと驚愕の連続。

 

ドラゴンボール超ブロリーは日本のアニメーションを新次元へと誘ったと言っていいでしょう。

バトルシーンだけでも1800円の価値は十分にあります。

 

ドラゴンボールに更なる期待が持てる

ドラゴンボール超ブロリーは100分の上映時間ですが、物語にテンポが軽快なのと後半はバトルの連続故に体感時間が本当に短く感じます。

 

バトルシーンから日常へと移行す場面はあまりにも突然で「もう終わりなのか?」と足元をすくわれるような感覚に陥ったのも事実。

それ故にオチが少し弱いと感じましたが、この作品はこの終わり方しかないと納得させられてしまうのも事実。本作は脚本が本当に強い。

 

ドラゴンボールなのにドラマが面白く、バトルは日本のアニメーション史に爪痕を残ること間違いなし。

シリーズの更なる飛躍が期待できる作品が生まれました。

 

まさに必見。これぞ究極のバトルアクションドラマです!