『GODZILLA 星を喰うもの』ネタバレ感想 SFはどこへ?宗教映画に舵を切った怪作になった!?
2017年からスタートしたアニメ版ゴジラシリーズが遂に完結。
第一章『怪獣惑星』、第二章『決戦機動増殖都市』と今までにないゴジラを見せつけ禍根を残しつつも最終章となる第三章『GODZILLA(ゴジラ)星を喰う者』が公開されました。
完結となる『星を喰う者』はふたを開けてびっくり!まさかの宗教映画でったのです!
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作品紹介・あらすじ
2017年からスタートしたアニメ版ゴジラシリーズ(通称アニゴジ)完結編。
第二章でメカゴジラシティを破壊したゴジラに成す術を無くした人類はエクシフの信奉する神”ギドラ”を召喚しゴジラ討伐を試みる。
主演声優は宮野真守、櫻井孝宏や杉田智和らが出演。
SF?いや、これは宗教映画だ!
アニゴジは奇想天外さで観客を魅了し困惑させ賛否渦巻く状況を生み出していました。
第一章ではラストで300m越えの超巨大ゴジラが登場し、第二章ではメカゴジラが街になって登場。まさかの展開にメカゴジラ詐欺と呼ばれる始末で禍根を生んでしまったのも事実です。
しかしながら、ゴジラの頑丈さは非対称性シールドの存在があるなどとゴジラの強さに上手く理由を付け、ナノメタルで構成されたメカゴジラがゴジラから発見されなかった理由付けもしっかりと練りこまれており、これまでのゴジラ映画ではなかなか見られない超SF要素を盛り込んできました。
そして来る第三章『星を喰う者』も確かにSF映画でした。
エクシフの神”ギドラ”がアラトラム号を襲った時には通信や生存信号にタイムラグが発生するなど、時空間の歪みを描きSFらしさを披露していました。
ギドラは別次元からやってきたのでゴジラですら触れることが出来ない。核弾頭にも耐えた非対称性シールドも通用せず観測装置でも察知できない、まさに異次元の存在なのです。
この次元を超えた存在と言うのがSF要素を強めており、そしてなおかつ神々しい存在としてギドラを驚異の存在たらしめていました。
それなのに今回は宗教映画に傾倒しているのです。
メカゴジラシティを失いゴジラに対抗する手立てを失った人類。ナノメタルに浸食されることなく生き延びた人間には何かの理由がある。
それは神の加護があったからとエクシフの神官メトフィエスは語るのです。
全ては神のおかげ。だからこそ、ゴジラを倒せるのも神しかいない…。エクシフは人類を洗脳していきます。
そしてギドラを召喚しゴジラもろとも地球を消し去ろうとする。
アラトラム号を破壊しましてや地球もろとも呑みこもうとしてしまうギドラ。ギドラによる終焉こそが人類の救済になる。
破壊による救済。
エクシフの狂気じみた信仰が徹底的に描かれており、そして彼らの教えを信奉する妄信的な地球人…。
エクシフカルトの教義を丁寧に説明してくれるので宗教臭さうさん臭さ満載です。ただし説教くささは一切なく、終始エクシフの狂気っぷりが説明される故にギドラの強大さが俄然と強まるというシステムなのです。
神こそがゴジラを倒しえる存在、神こそが救済を与える存在…。
SF要素はギドラの影響で時空間が歪んだ程度で収まり、残るのはハルオとメトフィエスの精神対話です。
ゴジラとは、自分とは何か。人類の未来とは。そんな問答をゴジラとギドラの戦いそっちのけで続けます。
神の偉大さ、そしてハルオこそが神を呼ぶ贄に相応しい。そんな対話を延々と見せつけられるので宗教の匂いが時間の経過とともに強まるのです。
神、神、神とひたすらに神のすばらしさ強大さを伝えまくる。これが宗教映画と言わずなんというのか。
神こそが全てに救済を与える。それこそが神を信奉するエクシフの使命。神は絶対なり。
SF要素は本当にどこへ?となること間違いなし。エクシフカルト宗教の世界へレッツゴー!それが第三章『星を喰う者』なのです。
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相変わらず見せ方悪いよね
これほどまで壮大な物語を見せつけているのにも関わらず演出があまりにも悪い。
ギドラの強大さはメトフィエスが懇切丁寧に説明してくれるのでどれだけ恐ろしいのかがよくわかります。
しかし、実際の戦闘ではゴジラの熱線を捻じ曲げる、ゴジラに噛みつくだけ。
(キング)ギドラという著名な怪獣を登場させておきながら映像としてその強大さを演出できていなかったのは致命的です。
台詞量もあまりに大きく、杉田智和演じるリーランド博士はもはや解説役。何かが発生するたびに説明をしてくれるのでとんでもなく作品を分かりやすくしてくれます。
しかし、いくら何でも説明セリフが多すぎです。しかも演出が悪いので単調な映像が続いてしまいなんだかノベルゲームを見ている感覚に陥るほどでした。
本当に見せ方が悪い。設定は凄く良いのに演出やセリフの取捨選択が悪すぎる。
そして肝心のゴジラ対ギドラの戦闘があまりにもつまらない。
ギドラは異次元からやってきた高次元怪獣と言いつつやっていることがゴジラに噛みつくだけ。あの長身を生かして巻き付くとか、往来のギドラのように熱線を吐くなどやり方はあったはず。
それなのに噛みつくだけで終わるとは…。本当に戦闘がつまらなすぎて驚きました。
でもやっぱりアニゴジを嫌いに離れない
この作品、変な作品です。でも嫌いになれません。
エクシフの思想をしっかりと描いてくれているので、人間キャラクターは深みある存在になっています。
第二章もビルサルドの思想が示されていたので、どれも嫌いになれないんですよね。
文句を言いたい部分はあまりにも多すぎます。だからと言って貶す気分にもなれない。
だけど擁護する気もない。嫌われる理由も大いに理解できてしまう。
そんな不思議な作品なんです。好きだけどそれ以上は何も言いません。