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『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は一体何が不味かったのか?今更ながらに考えてみた

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? [Blu-ray]


2017年夏に公開された『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?
個人的に好きな作品なのですが世間では不評を買っている様子。
この作品は一体何が不味かったのか、今更ながらに考察していきたい。

ネタバレ含んでます。

君の名は。』の存在


まずこの作品を考察する前提として2016年に破壊的なヒットを記録した『君の名は。』の存在を無視できない。
『打ち上げ花火』の予告を見る限り『君の名は。』路線で売ろうとしていたことは明白。


こんな予告編を見せられるとそりゃ『君の名は。』みたいな作品を期待しちゃうわけでして。彗星が降ってきそうな雰囲気満々じゃないですか。

 

企画自体は『君の名は。』よりも前から動いていたらしいが、公開は『君の名は。』の方が早く歴史的な大ヒットを記録したため後釜を狙う作品として売り出されてしまったのだろう。

 

しかし、内容は『君の名は。』のようなものではなくアニメファン好みな考察の余地を残すものになっていた。

明らかなミスマッチ宣伝


『打ち上げ花火』はいつも通りのシャフト感や明確な答えが提示されないラストなど、考察などが好みのアニメファンなら受け入れることが出来た作品だと思う。

 

だが明らかに一般層(大衆)向けではない。
一般層は素直に面白かった、泣けたと捉えることのできる作品を望んでいるはずなのに『打ち上げ花火』の不完全燃焼的なラストはやはり一般層に即してなかったと思う。

 

宣伝が『君の名は。』っぽすぎて観客とのミスマッチを起こしてしまったのだろう。
明らかな失敗に思える。

明確な答えの無いラスト


『打ち上げ花火』は観客によって捉え方が様々に異なる作品だ。
特に明確な答えが提示されないラストは考察をしたくなる。

 

「なぜこんな結末に行きついたのか」「もっと幸福になれなかったのか」「いや、これは幸福の過程を描いていて~」といった感じでアニメファンが寄り集まって考察を語り合いたくなること間違いなしのラストになっている。

 

これは『君の名は。』とは正反対である。
君の名は。』は考察の余地はあまりなく「再会」という明確な答えを提示した。だからこそ泣けると評判を呼んだのだが『打ち上げ花火』にはそれがない。

 

なぜこんなオチになったのか意味が分からないとの意見が出てくるほどで、やはり一般層向けではない作品だったのだろう。

結論


打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』は一般層向けではなくアニメファン向けの作品だと考えている。

 

だが『君の名は。』の存在が巨大すぎたためにその後釜を狙うべく仕組まれた宣伝のおかげで大衆とのミスマッチを発生させてしまった。

 

そりゃあんな予告編だと『君の名は。』のような作品を期待してしまいますよ。
でもふたを開けてみたら全然違うわけで。宣伝が明らかなミスマッチを起こしちゃったわけ。
この作品は被害者と言えるかもしれない。

 

結局『君の名は。』が凄すぎてアニメ界に傷跡を残していったと思う。その傷を修復すべく『打ち上げ花火』が出てきたわけだが、それが出来る作品ではなかったっということだ。

 

君の名は。』は『君の名は。』であってその代替が可能な作品は存在しない。
『打ち上げ花火』も『打ち上げ花火』でしかない。相互補完ができることはないわけだ。

 

普通にアニメファン向けに宣伝していればここまで不評を買うことはなかったはず。
『打ち上げ花火』はなんとも不遇な作品と言えるかもしれない。