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『アントマン&ワスプ』ネタバレ感想 前作から揺るがない家族の物語

 

インフィニティ・ウォーの衝撃が冷めやらぬまま公開された『アントマン&ワスプ』

インフィニティ・ウォーのような壮大荘厳さはなく、他のマーベルヒーローとは大きく異なった作品になっていました。

 

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作品紹介・あらすじ

マーベル・シネマティックユニバースに属する作品。MCUシリーズ20作品目でアントマンシリーズ第2作。

 

物語はシビル・ウォー/キャプテンアメリカで逮捕されたスコットラング(アントマン)の自宅謹慎終了間近を描く。

 

主演は前作に引き続きポール・ラッド。監督も引き続きペイトン・リード。

 

感想 一貫して描かれる家族の物語

アントマンが他のマーベルヒーローと大きく異なるのは前科持ちと子持ちの二転でしょう。

『アントマン&ワスプ』ではシビル・ウォー/キャプテンアメリカ後に2年間の自宅謹慎処分を受けたスコット・ラング(アントマン)が娘と遊んでいる場面から始まります。

既に他のヒーローとは異なったファミリーの雰囲気を醸し出しています。

 

前作も娘を守るために奮闘する父の姿が描かれていましたが、今作では親子愛というものをより深く掘り下げています。

ハンク・ピムの妻でホープ(ワスプ)の母ジャネットを量子世界から救出しようとしていると、ピム博士のラボを狙う謎のゴーストの二つの物語が交錯します。

 

本作ではホープたちの家族の思いに焦点を当て、彼女たちを救うべくスコットが奮闘します。

スコットにとってホープは重要なパートーナーであり親の存在が子どもにとってどれほど重要なのかを理解しているのです。

 

そんな彼が彼女たちの希望となり、実際にジャネットを救うために奮闘する姿には自然と涙が流れてきてしまいます。

 

アントマンは一貫して家族の物語を描いているんですよね。

前作がスコットと娘の物語で、本作はピム博士、ホープと母ジャネットの物語。

スコットは添え物ではなく、家族の大切さを説く重要な語り手。説教がましく家族について語る場面はありませんが、娘や元妻と触れ合いを見せることで柔らかに家族を語っているんですよね。

 

前作からの積み重ねで家族の大切さが嫌と言うほどに伝わってくる巧みな演出がなされているんです。

家族というものは希望そのものであり、母を救える可能性を示したスコットは文字通り希望の象徴。

つまりスコットもホープたちにとって家族のような存在へ近づいていることを示しているのではと考えます。

 

マーベルヒーローは家族に対して不幸な経験を持つものが多い。

アイアンマンことトニー・スタークは若くして両親を失い、ソーは弟のロキが実は異民族、スターロードは父親が母を死に至らしめた黒幕。

家族にそれほど良い印象を持つものがいないのです。

 

しかし、アントマンは家族を大切で掛け替えのないものと描いており他のヒーローたちとは大きく異なる普遍的メッセージを盛り込んでいます。

 

『アントマン&ワスプ』は他のマーベルヒーローとは違い本当に小さな世界を描いています。

世界が危機に陥るわけでも宇宙人が出てくることもありません。

家族の物語に終始することで物語は非常に小さな世界となり、インフィニティ・ウォーなどとの差は激しく戸惑いを覚えるほどです。

ですが家族というテーマは非常にこじんまりとしていますが普遍的で全世界の人々へと繋がる壮大なテーマなのです。

 

量子世界を描くなど、これまでMCUが目指してきた宇宙とは全く別の世界を描くことで視覚的新鮮さを与えることにも成功し、家族のお話をより大規模なテーマへ発展させることに成功しています。

 

前作から一貫してブレることのない家族の物語。

 

スコットに憑りついたジャネットを演じるポール・ラッドの演技力が凄まじく、本当に情勢にしか見えなくなったほど。

演技力の高さにも注目してほしい。それが『アントマン&ワスプ』です。