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あの日読んだ『イリヤの空、UFOの夏』を僕たちは忘れられない

イリヤの空、UFOの夏 その1 (電撃文庫)


傑作と言っていいライトノベルイリヤの空、UFOの夏
それがカクヨムで無料公開された。平日に一話ずつ公開していく形式のようだ。

イリヤの空、UFOの夏/秋山瑞人(電撃文庫) - カクヨム


ライトノベルと言う存在を決定づけ文学と呼んでも差支えのない傑作を読んだあの日のことを忘れられない。

原作は2001年に第一巻が出版された。
魅惑的な表紙とSFめいたタイトルに惹かれ手に取ったことが出会いだ。

まず冒頭から惹きこまれた記憶がある。
この作品は『ボーイ・ミーツ・ガール』だ。少年が少女に出会い物語が始まる。
よくある設定なのだが、この作品は普通のボーイ・ミーツ・ガールではない。

冒頭から疾走感があり、そして青春が見事に同居した独特の雰囲気を持っていた。これまで見たアニメや漫画にはなかったように思える澄みつつもどんよりとした不安を催すような不可思議すぎる空気感。
この作品はタダの娯楽作品じゃない。そう実感した冒頭だった。

文才が豊かでそれでいて文章も諄さがない平易で読みやすいものだった。
キャラクター設定も魅力的でハチャメチャなのだけどどこか愛らしく現実感のある造形には舌を巻いた。

本当に凄い作品だ。たった強烈なインパクトを残しライトノベルと言う物を決定づけた作品と言える。

ライトノベルのあり方とは何か。それが知りたければこの作品を読むと言い。
ライトノベル独特のキャラクター造形やストーリー展開が盛り込まれていてラノベのお手本と呼べる作品だ。

少年と少女から物語は壮大な宇宙へと広がる。
冒頭からは想像できない壮大壮観な世界観の広がりには驚いたし、何より巧みな伏線とギミックが読むたびに頭を殴るかのように刺激してきた。

そんなイリヤの空の最大の魅力は甘酸っぱい青春描写だろう。少年が少女に出会い、力もないのに少女を守ろうと奮闘する…。そんなどこにでもある設定を巧みに生かし、しかしラストはどこか切なさを残しつつも爽やかに終わらせる圧倒的な力量。

魅力しかない。本当に凄い作品だった。この作品を読むと自分もこんな青春が送ってみたいと思えるだろう。
そんな凄い作品だ。

この作品は確かにもう一つの夏を経験させてくれる。主人公を追憶するかのようにいまだに忘れられることが出来ないのだ。それほど強烈なインパクトを残してくれた。

まだ読んでいない人は幸せだ。これぞラノベだと言わんばかりの要素がてんこ盛りで甘くて酸味のある青春と涙が襲ってくる。無料で読めるなら読んでほしい。これほど素晴らしい作品は滅多にない。

これを読めばきっと夏を体験できる。そしてそれは忘れられない思い出の夏になるはずだ。