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『インフィニティ・ガントレット』感想 マーベル史上最悪最強の『愛』を描いた一冊!

インフィニティ・ガントレット (ShoPro Books)

アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』の公開に備えて原典となる『インフィニティ・ガントレット』を購入。アメコミにはあまり慣れておらず読みづらさもあったが壮絶壮大な一冊で強烈すぎました。

少しネタバレがあります。

マーベルユニバースのスーパーヴィラン『サノス』が復活。サノスとの戦いに敗れたシルバーサーファーが地球へと落下しサノス復活を伝える。サノスは愛する死の女神『デス』に振り向いてもらうためインフィニティ・ガントレットの無限の力を使用して全宇宙の生命の半分を消失させるなど暴虐の限りを尽くす。
異常事態にマーベルヒーローたちが集結しサノスへの対抗を模索し始める…。といったあらすじだ。

まずこの一冊を読んだだけではサノスが一度死んでいると言うことがよくわかりません。以前に何かが起きていたのでしょうが深い背景が語られないので、どのような経緯があったのかはさっぱり不明。別の誌面で読めるのかな?

サノス一度目の死の理由は本作に大きく関わってこないので予備知識がなくても読める内容になっているので初心者でも大丈夫です。

サノスは愛する人を振り向かすために暴虐の限りを尽くすというキャラクター。生命を消し孫娘を腐乱死体状態で復活させ、挙句には立ち向かってきたヒーローをなぶりまくる。
全て愛する『デス』を振り向かせるためなの行為なのですから面白い。

通常の悪役ならば無限の力を得ると私利私欲のためにそれを使いそうなもの。サノスもそうなのだが彼の根底には『愛』があるのです。愛する故に我ありという状態。愛こそが全てというとてつもない悪役。愛のためなら何でもする。あんたはメンがヘラってるのかと言いたくなる始末。

好きな人に意地悪しちゃう小学生的心理が肥大化した存在と言えるかもしれませんね。

一向にデスが自分に振り向かないためにガントレットの力で理想の女性を作り、彼女の嫉妬を誘おうとするなどかなり感情的な一面も見せる。やり方はかなり酷いが感情を刺激しようとする悪役は新鮮さを感じます。

この作品は強烈な狂気に満ちた『愛』の物語。愛のためなら何でもするサノスの一途さと焦燥感を描いたラブストーリーとも言える作品です。

アイアンマン、スパイダーマンキャプテンアメリカやソーなどのヒーローはほぼおまけみたいな状態。サノスが中心となり物語が動くので主人公はサノスなです。

悪役が主人公。しかもその悪役は無限の力を持っていて愛する人を振り向かせるために力を使う。日本の漫画でやってしまうと突っ込みどころ満載でネタにされるかねないでしょうが、本作はサノスの心情を丁寧に描くことによって納得できる内容になっています。内面の描き方が上手いんですよね。

サノスは本当に魅力あふれたキャラクター。愛に忠実なキャラクターだからこそ読者も惹かれてしまうんですよね。
現実でも暴走した愛が暴力衝動に働くこともある。本作はそれを漫画的な過激さで描いているのです。暴走ですよこんなの。

インフィニティ・ガントレットはマーベルユニバースを揺るがした大事件。様々なヒーローが命を落としてしまいますが、最悪最強の深すぎる『愛』は見ものです。

愛の力って凄い!そう思わせる強烈な一冊!

 

インフィニティ・ガントレット (ShoPro Books)

インフィニティ・ガントレット (ShoPro Books)